劇団プロジェクトニュートラル

スクランブルエッグvol.1

虹色の雪が舞う時、

僕が想うこと。

サボテンズとセッション

公演データ

原案・橋本幸子「あじさいの降る夜、僕が想うこと。」 

作・トイズファクトリー 演出・渡辺浩一

照明・松本伸一郎 音響・渡辺浩一 衣装デザイン・蛯原ミサイル

制作・朝比奈宏 伏見実千代 劇団プロジェクトニュートラル

CAST

ハルオ・里中龍児

アオイ・中村容子

キャップ/ハヤミ・山岸拓也

ヒロ山梨・土居清光

園長・青木十三雄

トリトンホテルオーナー・尾花雅之

デビル/マヤ・二ツ山未来

キューピッド/アユミ・伏見実千代

ロザリオ・野沢篤紀

テレコム・橋本幸子

鮫島/小野寺・壱森マサヒロ(シリアルナンバーズ)

2001年2月 渋谷club EGGSITE


ストーリー

売れない劇団員・ハルオと、ジャーナリストの卵・アオイは、行き詰まった二人の関係にピリオドを打つため、二人の思い出の場所「クリスタルランド」で最後のデートをすることにしました。それでもちょっと心残りなハルオは、二人の楽しかった頃を思い出したくて、思い出をバーチャル体験できるアトラクション「クラシック・パスト・メモリーズ・ツアー」に行くのでした。

その頃、その「クラシック・パスト・メモリーズ・ツアー」では、人気降下のせいで取り壊し、跡地には一流ホテルが立つ事になるという、残酷な現実に直面していました。寂しさを振り切って、最後のフライトに挑もうとするスタッフの元を、訪れるハルオとアオイ。最後のツアーと言う事で、予想外の大人数から無事・・・選ばれるハルオの思い出。ところがツアーのトラブルメーカー「テレコム」のちょっとしたイタズラから、ツアーはとんでもない旅に出るのでした。

果たしてハルオとアオイの過去に未来はあるのか!?

「クラシック・パスト・メモリーズ・ツアー」の最後のフライトが始まった!


こぼれ話

橋本幸子嬢の1997年作品「あじさいの降る夜、僕が想うこと。」がベース作品になっています。メモリーパークにある人気アトラクションに、ハルオと言う男の子が、妹と共にやってきました。そのアトラクションの名前はクラシック・パスト・メモリーズ・リバース・ツアー。お客さんの思い出を、他の人たちと共に追体験できるという、まったく新しいタイプのアトラクション。そこでハルオの妹が、ツアーのメインコンピューター・テレコムの悪口を言った事から、ツアーはとんでもない事になっていくのでした。通常なら思い出のスタート時から、時間が過ぎて行くのですが、思い出のスタート時がエピローグになると言う、一見楽しい、でも恋人同士には出会いが即別れとなる、悲しいツアーです。この時の思い出に選ばれたのは、何故かツアーの従業員ロザリオ。彼は同じ従業員のナギサと恋人同士だったのに、どんどん別れに近付いて行くのです・・・。この話はビデオで見ました。ちなみにクラシック・パスト・メモリーズ・リバース・ツアーがらみの作品は、もう一つ「テルヤ丸福堂の時間」と言うのがあります。実はこのどちらの作品にも「ハルオ」が出てくるのですが、何度行っても自分の思い出が選ばれない、かわいそうな役だったんですね。虹僕ではいきなりの主役です。

この話で従業員の一人OH40と言うキャラクターを演じていた渡辺浩一は、是非再演を望んでいました。それをプロニュー仕立てにアレンジして、発表したのがこの作品です。1時間作品という制約、本公演後1ヶ月という制約、舞台の関係でダンスシーンは無し、SE(効果音)が入れられないとか、もう制約だらけの一本でしたが、なんとか収まってると思います。

原作ではどんどん記憶が無くなっていく主人公カップルが、別れの日主役の男の「別れても僕は君を忘れる事ができないんだ」と言うのがキーになっていたんですが、虹僕では忘れて行くはずの記憶が、どうしても忘れられず、その事がコンピューターを狂わせて、記憶の中に閉じこめられるヒロインに焦点を合わせました。ヒロインのセリフ「私、あなたの事を知っているわ」には結構深い意味があったんですよ。

原作でもこの作品でも、テレコムと言う謎の生き物を怪演している橋本幸子嬢が絶品。この時出てきた「ヒロ山梨」というクリスタルデザイナーは、「pistol1920」「dear cowgirl」にも出てくることになります。この時の役者は土居清光氏。「dear cowgirl」では壱森マサヒロ氏が好演しています。その壱森氏は、レストランのモブシーンで「すっごいおいしい」を連発しています。これが絶妙で、稽古中から大好評でした。アオイの家で、ハルオが見ているテレビの中では、「兜」をやっていました。これは誰も気がつかなかったみたいですね。ビデオでも音声は届いてないみたいだし。